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2025.05.02  

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モーションキャプチャとは?種類や個人とスタジオの違いについて解説


モーションキャプチャとは?種類や個人とスタジオの違いについて解説

「モーションキャプチャ」という言葉をご存知でしょうか?映画やゲームのリアルなCGキャラクターの動きだけでなく、最近ではVTuber活動でも欠かせない技術として広く注目されています。

かつては大規模スタジオでしか実現できなかったこの技術が、今では個人でも比較的手軽に導入できるようになりました。
この記事では、「モーションキャプチャって何?」という基本的な疑問から、その仕組み、様々な種類とその特徴、個人で始める方法、プロが使う本格的なシステムまで、わかりやすく解説します。最後まで読めば、自分に合ったモーションキャプチャを見つけられるでしょう。

この記事でわかること

  • モーションキャプチャの基礎知識
  • モーションキャプチャのやり方や必要な機材
  • モーションキャプチャのおすすめシステム
  • あらゆる場面で活躍!モーションキャプチャの活用シーン
  • モーションキャプチャにかかる費用

モーションキャプチャとは

モーションキャプチャ(通称MoCap)とは、人や物の動きをセンサーやカメラで捉え、そのデータをデジタルキャラクターやモデルなどにリアルタイムで適用する技術のことです。この技術により、俳優やパフォーマーの身体の動き、表情の変化などを3DCGキャラクターに、その動きそっくりに反映できます。

もともとはハリウッド映画の特殊効果や、リアルな動きが求められるゲーム制作などで主に使われてきましたが、現在では、VTuber活動、医療、スポーツ分析など幅広い分野で活用されています。

特に近年、VTuberの普及に伴い、個人クリエイターがモーションキャプチャ技術に触れる機会も増えています。技術の進化と低価格化により、かつては考えられなかった高品質な動きの表現が、個人レベルでも実現可能になってきているのです。

モーションキャプチャとトラッキングの違い

モーションキャプチャと似た言葉に「トラッキング」がありますが、これらは少し意味合いが異なります。

モーションキャプチャは、人間の身体全体の動きや、各部位(手足、指、表情など)の細かな動きを捉え、記録することに特化した技術です。取得したデータは、その後3Dモデルやキャラクターに適用して動きを再現します。

一方、トラッキングは、より広い意味を持つ言葉で、特定の物体や点(マーカーなど)の位置や動きを追跡する技術全般を指します。例えば、顔認識で目や口の位置を追いかけたり、AR(拡張現実)で特定の場所にCGを表示させ続けたりするのもトラッキングの一種です。つまりモーションキャプチャは、トラッキング技術の一部ともいえます。

簡単に言えば、モーションキャプチャは「人間の動きそのものを取得・再現する」のに対し、トラッキングは「対象の位置や向きを追い続ける」技術です。

VTuber活動では、顔の表情を捉える「フェイシャルトラッキング」と、体の動きを捉える「ボディモーションキャプチャ」の両方の技術が組み合わされて、アバターを動かしています。

モーションキャプチャの種類

モーションキャプチャには動きを検出する仕組みによって主に以下の5つの種類があります。それぞれ異なる特徴があり、適した用途が違います。

磁気式モーションキャプチャ

磁気式モーションキャプチャは、磁場(磁気の力)の変化を利用して動きを検出するシステムです。

特徴:

  • 小型の磁気センサーを体に装着して使用
  • リアルタイムでのデータ処理が得意
  • 比較的コンパクトな設備で導入可能
  • 金属による干渉を受けやすい

磁気式は装置が比較的安価で、設置スペースもそれほど取らないため、研究室や中小規模の制作環境で利用されることがあります。ただし、周囲の金属や電子機器による干渉を受けやすいため、使用環境を選ぶ方式です。

光学式モーションキャプチャ

光学式モーションキャプチャは、現在、最も主流で高精度な方式の一つです。特殊なカメラでマーカーの動きを捉えます。

特徴:

  • 体に「反射マーカー」と呼ばれる小さな目印を複数取り付け、それを多数の専用カメラで撮影して位置を正確に割り出す
  • 非常に高精度(ミリ単位)の動きのデータが取得可能
  • 外部からの干渉を受けにくく、安定した記録が可能
  • 複数人を同時にキャプチャできる
  • 広いスペースと専用の設備が必要

ハリウッド映画の制作現場や、大手ゲーム会社のスタジオ、有名VTuber事務所などで採用されている「業界標準」とも言える技術です。OptiTrack(オプティトラック)やVicon(ヴァイコン)といったシステムが有名です。最高の精度が求められるプロフェッショナルな現場で活躍します。初期投資は高額ですが、最も精度の高いデータが得られます。

画像式モーションキャプチャ

画像式モーションキャプチャは、特殊なマーカーやセンサーを使わず、通常のカメラ(Webカメラやスマートフォンのカメラなど)の映像から、AI(人工知能)などが人物の骨格や動きを推定する方式です。

特徴:

  • 特殊なマーカーが不要で手軽に始められる
  • 比較的安価に導入可能
  • 細かい動きの精度は低め
  • AI技術と組み合わせて精度向上

最近ではスマートフォンのカメラを利用したアプリ(iFacial Mocapなど)だけで高精度な表情(フェイシャル)キャプチャができるようになり、多くのVTuberに利用されています。手軽に利用できる点が大きなメリットです。

機械式モーションキャプチャ

機械式モーションキャプチャは、身体に金属やプラスチック製の外骨格(エクセスケルトン)のような装置を装着し、各関節の角度センサーなどから動きを直接計測する方式です。

特徴:

  • 関節の角度を直接測定するため精度が高い
  • 外部環境のの影響を受けにくい
  • 動きが制限される場合がある
  • 装着が大掛かり

以前は広く使われていましたが、他の方式の進化により、現在では人間の動きをキャプチャする用途ではあまり主流ではなくなっています。特定の用途(ロボット制御など)では今でも使用されています。

慣性式モーションキャプチャ

慣性式モーションキャプチャは、加速度センサーやジャイロセンサー(物体の傾きや角速度を検知するセンサー)、地磁気センサーなどが組み込まれた小型の「IMU(慣性計測装置)」を身体の各部に取り付け、その情報から動きや姿勢を計算する方式です。

特徴:

  • ワイヤレスで自由な動きが可能
  • カメラが不要なため、広い範囲での撮影が可能
  • スーツ型で装着が簡単
  • 位置ドリフト(誤差)が発生する場合がある
  • 光学式と比べて導入コストを抑えられる

Perception NeuronRokoko Smartsuitなどが代表的な慣性式システムです。個人クリエイターやインディーズスタジオ、VTuberなどに人気があり、手頃な価格で全身の動き(フルボディトラッキング)を実現できるため、近年注目度が高まっています。

モーションキャプチャのやり方

モーションキャプチャを行う環境は大きく分けて、自宅(個人)環境とスタジオ環境の2つがあります。それぞれで使える機材や、得られるデータの質が異なります。

自宅(個人)でのモーションキャプチャ

「まずは試してみたい」「コストを抑えたい」という方には、自宅でできるモーションキャプチャがおすすめです。限られたスペースや予算の中でも、工夫次第で様々な表現が可能です。主な方法としては、以下の3つが挙げられます。

  1. Webカメラやスマートフォンを使用した顔トラッキング(初心者向け)
  2. 慣性式モーションキャプチャスーツの利用(ゲームクリエイターなど)
    • Perception NeuronRokoko Smartsuitなどのスーツ型システムを着用
    • 全身のリアルな動きをワイヤレスでキャプチャ可能
    • 製品によっては指の動きまでキャプチャ可能。
  3. Kinectなどの深度センサーカメラの活用(応用編)
    • 専用ソフトウェア(VMC等)と組み合わせて使用
    • マーカーレスで全身の大まかな動きを取得可能

自宅でのモーションキャプチャは、技術の進歩により驚くほど手軽で実用的になりました。特にVTuber活動では、Webカメラだけでも十分に魅力的な配信が可能です。

ただし、精度や安定性、キャプチャできる動きの複雑さには限界があります。「もっと滑らかに動きたい」「複数人で同時に動きたい」といった場合には、スタジオでのモーションキャプチャの検討が必要です。

スタジオでのモーションキャプチャ

プロフェッショナルなスタジオ環境では、個人環境とは比較にならない、より高精度なモーションキャプチャが可能です。

  1. 専用の広いスペースと高天井の環境
    • 天井が高く、広々とした空間で、走る、跳ぶ、踊るなどの大きなアクションや、複数人が同時に動くシーンも制限なく収録できます。
  2. 多数の高精度カメラシステム
    • OptiTrackやViconといった業界標準のシステムが用いられます。数十台以上の専用カメラを戦略的に配置し、あらゆる角度からマーカーの動きを捉えることで、ミリ単位の極めて正確な動きのデータを、死角なく安定して記録します。
  3. プロのオペレーターによる調整と編集
    • 機材の性能を最大限に引き出すためのセッティング、ノイズの少ないデータ収録、そして収録後のデータ修正(クリーンアップ)やキャラクターへの適用(リターゲット)といった専門的な作業を、熟練のスタッフが行います。これにより、生データが洗練され、すぐに使える高品質なモーションデータに仕上がります。

スタジオ環境では、映画やゲームに使えるプロフェッショナル品質のモーションデータを取得できます。複雑な殺陣(たて)のアクション、繊細なバレエの動き、複数人での息の合ったパフォーマンスなども、驚くほど正確に記録できます。これにより、最終的な映像やゲーム、ライブなどのクオリティが飛躍的に向上します。

モーションキャプチャに必要な機材

モーションキャプチャを行うには、目的や選ぶ方式に応じて様々な機材が必要になります。以下で、モーションキャプチャに必要な機材を紹介します。

カメラ

モーションキャプチャで使用されるカメラには様々な種類があります。

  • 光学式モーションキャプチャ用の専用カメラ
    プロのスタジオで使われる、非常に高性能な特殊カメラです。
    • 高フレームレート(100fps以上)
    • 赤外線対応
    • 同期機能付き(OptiTrack/Vicon向け)
  • 深度センサーカメラ
    物体の形や距離を測ることができる特殊なカメラです。マーカーなしで人の形を捉えるのに使われることがあります。
  • 通常のWebカメラやスマートフォンカメラ
    最も身近で手軽に利用できるカメラです。主に顔のトラッキングに使われます。
    • 顔トラッキングや簡易的なモーションキャプチャに利用
    • 最近は高性能化してきている

光学式モーションキャプチャ用の専用カメラは、約20~220万円と高額。深度センサーカメラは、2万円程度から購入できます。スマートフォンがあれば、無料で始めることも可能です。用途や予算に応じて適切なカメラを選択することが重要です。

ネットワーク機器

複数のカメラやセンサーを使用する場合、それらを接続・同期するためのネットワーク機器が必要です。主に、多数の光学式カメラを使用するプロのスタジオ環境で重要になる機材です。個人利用の慣性式やWebカメラ方式では、通常あまり意識する必要はありません。

  • 専用ハブや同期装置
    • カメラの同期と高速データ転送に対応
    • 低レイテンシー(データ転送の遅延がないこと)が重要
  • 高速ネットワークスイッチ
    • 大量のデータをリアルタイムで処理するための交通整理役
    • ギガビットイーサネット以上の速度が必要
  • 専用ケーブル
    • 長距離・高速転送に対応したもの

特に大規模なスタジオセットアップでは、ネットワーク機器の質がデータの安定性と精度に大きく影響します。

モーションスーツ

センサーやマーカーを身体の適切な位置に固定し、動きを正確に捉えるための衣服や器具です。

  • 光学式用マーカースーツ
    • 反射マーカーの取り付け位置が定まっている
    • 身体にぴったりフィットし、動きを妨げない伸縮素材
    • パフォーマーの動きを妨げないデザイン
  • 慣性式センサースーツ
    • 各関節にIMUセンサーが内蔵されたスーツ型
    • センサーをバンドなどで身体の各部に取り付けるタイプもある
    • ワイヤレスで動作するバッテリー内蔵のため自由な動きができる
  • フェイシャルキャプチャ用ヘッドセット
    • 表情の細かい動きを捉えるための小型カメラやセンサーを搭載したヘッドセット
    • スマートフォンを顔の前に固定するためのマウント器具などもある

長時間着用することも多いので、体にフィットし、動きやすく、疲れにくいものが理想的です。慣性式は製品によってセンサーの数や性能、バッテリー持ちなどが異なります。

マーカーパーツ

光学式モーションキャプチャ専用の部品。光学式モーションキャプチャでは、体に取り付ける反射マーカーが必要です。

  • 球形の反射マーカー(ボディ用マーカー)
    • 様々なサイズがあり、部位に応じて使い分け
    • 赤外線を反射する特殊な素材でコーティング
  • マーカーの取り付け具
    • ベルクロや専用の粘着テープ、バンドなどスーツや体に固定するもの
  • フェイシャルマーカー
    • 顔の表情をキャプチャするための小型マーカー

マーカーの配置パターンは決まった定義があり、ソフトウェアがそれを認識して骨格構造に変換します。正確な位置に、しっかりと固定することが、データの品質に繋がります。

PC・ソフトウェア

モーションキャプチャで記録したデータを処理し、実際にキャラクターを動かすためには、高性能なPCと専用ソフトウェアが必要です。

  • 高性能PC(推奨スペック)
    • CPU:Intel Core i7-12700/i7-13700/AMD Ryzen 7 5700X 以上
    • GPU:GeForce RTX 3070/RTX 4070 以上
    • メモリ:32GB以上(64GBが理想)
    • ストレージ:NVMe SSD 2TB以上(配信・録画・ゲーム用途を考慮)
    • OS:Windows 10(64bit)以降
    • その他:USB 3.0ポート、DirectX12対応GPU、1920×1080以上のモニター解像度
  • モーションキャプチャソフトウェア
    カメラやセンサーからの生データを直接受け取り、骨格データなどを生成・記録する、ハードウェアとセットの専用ソフトです。
    • 各ハードウェアメーカー提供の専用ソフト
    • Motive(OptiTrack用)、Blade(Vicon用)など(業務用・プロ用)
    • VTube Studio(2D)、Kalidoface(3D)など(個人・VTuber用)
  • データ処理・編集ソフトウェア
    キャプチャしたモーションデータには、ノイズが含まれていたり、そのままではキャラクターに適用できなかったりすることがあります。これらをクリーンアップしたり、異なる体型のキャラクターに合わせてリターゲットしたりするためのソフトです。
    • MotionBuilder(業界標準、高機能だが高価)
    • Maya(3Dアニメーションソフトだが編集機能あり)
    • Blender(無料の高機能3Dソフト、アドオンで対応)など
  • アバター制御ソフトウェア
    キャプチャした動きを、リアルタイムであなたのアバター(VRMモデルなど)に反映させ、表情豊かに動かすためのソフトウェアです。OBS Studioなどの配信ソフトと連携して使います。
    • VSeeFace:無料で高機能、広く使われている定番ソフト。外部連携も豊富。
    • 3tene:VTuber配信や3D/2Dアバターのリアルタイム操作に広く使用されている。
    • VUP:中国発の統合ソフト。アバター管理とモーションキャプチャ機能を持つ。など
    • VTuber活動用のリアルタイムコントロール

VTuber向けソフトは開発が活発で、新しいものも次々登場します。無料/有料、対応OS、使いやすさ、機能、連携できる機材などが異なるため、自分の目的やスキルレベルに合ったものを選ぶことが重要です。導入する際には、最新情報やコミュニティでの評判をチェックしましょう。

モーションキャプチャのおすすめシステム

目的や予算に応じて、最適なモーションキャプチャシステムは異なります。以下、用途別におすすめのシステムをご紹介します。

■ 個人・VTuber活動におすすめ(低コスト・簡易導入)

システム名 特徴 価格帯 対応範囲
VSeeFace + Ultraleap (旧Leap Motion) 無料ソフト+手の動きを精密に取得可能なデバイス 本体20,000円前後 フェイシャル+ハンドトラッキング、簡易ボディが可能。
iFacial Mocap ・iPhoneのFaceIDを活用した高精度フェイシャル
・月額課金制で、商用利用も可
アプリ980円 フェイシャル特化
3tene(ミテネ) 日本製で商用利用可。Live2D/VRM両対応 無料〜有料版(約12,000円) フェイシャル+ボディ
VMagicMirror 無料&軽量なVRM配信ツール。手入力も可能 無料 フェイシャル+簡易ボディ(手はキーボード入力)
Animaze 豊富なアバターが用意されている配信特化型 無料〜有料プラン(4,900円/月〜) フェイシャル+簡易ボディ
Webcam Motion Capture Webカメラ1台で顔・手・上半身から全身まで3Dアバターを動かせるAI搭載トラッキングツール 月額199円 Webカメラで顔・手・上半身
VTube Studio 3Dアバター作成から配信まで一貫対応 無料 (基本機能) / Pro版(1,100円/月〜) フェイシャル+ボディ

個人やVTuber活動向けのモーションキャプチャシステムは、比較的低コストで始められる点が大きな魅力です。特に顔のトラッキングを重視したソフトが多く、スマートフォンやWebカメラだけで手軽に始められるものも豊富です。

初心者には3teneやVTube Studio、Webcam Motion Captureなど、Webカメラやスマホで簡単にアバターを動かせる統合型ソフトが使いやすいでしょう。より高度な表現や手の動きまで再現したい場合はLeap Motion(Ultraleap)などのハンドトラッキングデバイスや、VSeeFaceのような指・腕トラッキング対応ソフトを組み合わせるのがおすすめです。

■ 中規模配信・コンテンツ制作向け(精度重視)

システム名 特徴 価格帯 対応範囲
Perception Neuron 3 慣性式で全身・指までトラッキング可能。個人向けに人気 約20万〜50万円 フルボディ+フィンガー
Rokoko Smartsuit Pro 2 ハリウッドも使うスーツ型。専用スタジオ不要 約60万〜 フルボディ+オプションで顔・指追加可能
Orbbec Femto Bolt Microsoftの技術協力を受け、Azure Kinect DKと同等の操作性・深度性能を実現。 約8万円~ 骨格検出、上半身~簡易全身、3Dスキャン等
VUP 3Dアバター管理+モーキャプ一体型ソフト(中国製) 無料 or 有料 顔・体・手(対応機器により)

中規模の制作や配信では、精度重視のフルボディトラッキングが求められます。特に慣性式のPerception Neuron 3やRokoko Smartsuit Pro 2は、専用スタジオや大規模な設備がなくても高品質なモーションキャプチャが実現できるため、プロ・個人問わず人気があります。

また、Orbbec Femto Boltのような深度センサーカメラは、比較的低コストで骨格検出や簡易的なモーションキャプチャ、3Dスキャンなどにも活用できます。VUPは多機能なソフトウェアとして、対応機器に応じて顔・体・手のトラッキングが可能です。機材に依存せず複数の入力方式に対応する柔軟さから、クリエイターに人気です。

■ プロレベル・スタジオ撮影向け(映像・ゲーム制作など)

システム名 特徴 価格帯 対応範囲
OptiTrack 光学式で最高精度。ハリウッドや大手VTuber事務所が採用 数百万円〜 完全フルボディ+マルチキャスト対応
Vicon 映画・ゲーム制作に多く導入されている業界標準の光学式システム 数百万円〜 フルボディ+高精度フェイシャル
Faceware Studio 高精度フェイシャルキャプチャに特化した業務用。Unity・UE連携可 数十万〜 フェイシャル特化
Xsens MVN Link モバイル対応のハイエンド慣性式。屋外での大規模撮影に対応 200万〜 フルボディ(業務用)

プロフェッショナルレベルのシステムは、映画やゲーム制作、大手VTuber事務所などで使用される最高峰の機材です。特に光学式のOptiTrackやViconは、ミリ単位の精度で動きを記録でき、複雑なアクションやパフォーマンスも正確に再現できます。

初期投資は高額ですが、商業利用での品質要求が高い場合は、この級のシステムが必要になります。フェイシャルキャプチャに特化したFaceware Studioのような専門システムもあり、用途に応じて組み合わせることが一般的です。

このほか、近年はマーカーレス方式(Move Pro/Move LiveAR51など)の導入も進んでおり、スーツやマーカー不要で高精度・多人数同時キャプチャが可能なシステムも登場しています。用途や予算、求める精度や運用規模に応じて、最適なシステムを選択することが重要です。

モーションキャプチャの活用シーン

モーションキャプチャ技術は、様々な分野で革新的な活用が進んでいます。代表的な活用シーンを見ていきましょう。

映画・アニメーション制作

映画やアニメーション制作では、CGキャラクターに自然な動きを与えるためにモーションキャプチャが広く使われています。「アバター」や「猿の惑星」シリーズなど多くのハリウッド映画で活用され、日本のアニメーション制作でも「キングダム」や「GANTZ:O」などで採用されています。

従来の手描きやキーフレームアニメーション制作に比べ、特に人間らしい自然な動きを大量に生成する場合、モーションキャプチャは制作時間の大幅な短縮とコスト削減に貢献します。

VTuber

VTuber(バーチャルYoutuber)活動では、配信者の表情や動きをリアルタイムでアバターに反映させるためにモーションキャプチャが不可欠です。

当初は顔や上半身のトラッキングが中心でしたが、慣性式センサーの普及により、個人VTuberでも比較的手軽に全身トラッキング(フルトラ)が可能に。ダンス、ゲーム実況での大きなリアクション、ライブパフォーマンスなど、表現の幅が飛躍的に広がりました。

大手VTuber事務所などが開催する大規模なバーチャルライブでは、光学式などの高精度なスタジオシステムが使用され、複数人での複雑なフォーメーションダンスや、現実のライブに匹敵するようなダイナミックなステージパフォーマンスが実現されています。

個人VTuberから大手事務所所属のVTuberまで、様々な規模で活用されており、技術の進化によりますます表現の幅が広がっています。

ゲーム開発

ゲーム開発では、キャラクターの動きをよりリアルに表現するためにモーションキャプチャが活用されています。

特に「ELDEN RING」「サイバーパンク2077」などのAAAタイトルでは、モーションキャプチャによって生み出されたリアルなキャラクターの動きが、プレイヤーのゲーム世界への没入感を格段に高めています。戦闘アクションから日常的な仕草、感情的な演技まで、幅広く活用されています。

手頃な慣性式システムやソフトウェアの進化により、かつては導入が難しかったインディーズゲーム開発でもモーションキャプチャが導入されるように。予算や規模が限られるインディーゲームにおいても、作品のクオリティ向上に貢献しています。

さらに近年人気のVRゲームでは、プレイヤー自身の頭や手の動きをトラッキングし、ゲーム内のキャラクター(アバター)に反映させることで、直感的で没入感の高い操作体験を実現しています。

医療

医療分野では、患者の動作分析やリハビリテーションにモーションキャプチャが応用されています。患者の歩行パターン、姿勢のバランス、関節の可動域などを高精度に計測・数値化。医師や理学療法士が、経験や勘だけでなく客観的なデータに基づいて診断や治療計画を立てるのに役立ちます。

リハビリ前後の動作を比較分析することで、治療効果を定量的に評価し、患者一人ひとりに合わせた最適なリハビリプログラムの調整を支援します。さらに、センサー技術と通信技術の組み合わせにより、患者が自宅にいながらリハビリを行い、その動作データを遠隔地の専門家が分析・指導するといった応用も進んでいます。

このように、特に整形外科や理学療法の分野での活用が進んでおり、個別化された治療プログラムの開発にも貢献しています。

スポーツ科学

スポーツ科学の分野では、アスリートのパフォーマンス分析やフォーム改善にモーションキャプチャが活用されています。トップアスリートの動きを詳細に分析し、無駄のない効率的なフォームや、より高いパフォーマンスを発揮するための改善点を見つけ出します。ゴルフスイング、野球の投打、陸上競技、水泳など、あらゆるスポーツで活用されています。

特定の動作が身体に与える負荷を分析し、怪我のリスクを評価したり、怪我からの回復過程をモニタリングしたりするのにも役立ちます。

日常的なトレーニング中に装着できるウェアラブルデバイスと連携し、より長期的・継続的なデータ収集と分析も可能になりつつあります。モーションキャプチャは、怪我の予防や競技パフォーマンスの向上に役立ち、プロスポーツチームやトレーニング施設での導入が進んでいます。

ロボット制御

ロボット工学では、人間の自然な動きをロボットに学習させるためにモーションキャプチャが使われています。人間の作業者が実際に行う複雑な動きをモーションキャプチャで記録し、それをロボットに学習させることで、従来の手作業によるプログラミング(ティーチング)よりも遥かに効率的に、自然な動きをロボットに教え込むことができます。

モーションキャプチャは、人間のように自然で滑らかな動きが求められるヒューマノイドロボットや、工場などで人間と一緒に作業する協働ロボットの動作生成に応用されています。

さらにモーションキャプチャは、人間のオペレーターの動きをリアルタイムで遠隔地のロボットに伝え、あたかも自分がその場にいるかのようにロボットを操作するインターフェースとしても活用されています。災害現場での作業などへの応用が期待されています。

XR(VR/AR/MR)制作

VRヘッドセットだけでなく、ハンドトラッキングやボディトラッキングを組み合わせることで、VR空間内のアバターが自分の動きと連動し、より深い没入感と他者との自然なコミュニケーションを実現します。

スマートフォンやARグラスを通して見る現実世界に、モーションキャプチャで動くリアルなCGキャラクターを登場させたり、自分の動きでARコンテンツを操作したりといった、新しい形の体験を提供します。危険な作業や習熟が必要な手技などを、モーションキャプチャを活用したリアルなVR/AR環境で安全かつ効果的にトレーニングにも活用されています。

モーションキャプチャは、「メタバース」のような仮想空間サービスの普及により、今後さらに需要が高まると予想されています。

モーションキャプチャにかかる費用

モーションキャプチャを導入したいと考えたとき、気になるのが「費用」です。モーションキャプチャの導入費用は、目的や求めるクオリティによって、数千円から数千万円まで様々です。

ここでは、大きく3つの導入規模と、スタジオ利用の場合に分けて、必要な費用の目安と、その予算で何ができるのかを紹介します。

個人・小規模導入(10万円未満)

個人のVTuber活動や趣味での利用に適した、低コストで導入可能なシステムです。主に顔や上半身のトラッキングを目的としています。主に以下のようなシステムがあります。

  • VSeeFace \+ Leap Motion:無料のソフトウェアと約15,000円のデバイスで、顔と手の動きを高精度に取得可能。
  • iFacial Mocap:iPhoneのFace IDを活用した高精度なフェイシャルトラッキング。980円から利用可能。
  • 3tene(ミテネ):日本製で商用利用可。Live2DおよびVRMに対応し、無料版と有料版(約12,000円)が選択可能。
  • VMagicMirror:完全無料で軽量なVRM配信ツール。キーボード入力による手の動きもサポート。

これらのシステムは、スマートフォンやWebカメラを活用することで、低予算でも効果的なモーションキャプチャが可能です。特にVTuber活動では、顔のトラッキングを中心に活用されています。

中規模導入(10万〜100万円)

インディーズゲーム開発や中小規模の配信、コンテンツ制作に適したシステムで、全身のトラッキングが可能です。スタジオ環境がなくても高品質なモーションキャプチャが実現できます。以下のようなシステムがおすすめです。

  • Perception Neuron 3:慣性式で全身と指の動きをトラッキング可能。価格は約20万〜50万円。
  • Rokoko Smartsuit Pro 2:ハリウッドでも使用されるスーツ型システム。専用スタジオは不要で屋外でも利用可能。価格は約60万円から。
  • Orbbec Femto:MicrosoftのToF技術を用いた高精度深度センサーカメラ。価格は約8万円からで、骨格検出や上半身~簡易全身に対応。
  • VUP:3Dアバター管理とモーキャプを一体化したソフトウェア。無料版と有料版があり、対応機器により顔・体・手のトラッキングが可能。

これらのシステムは、比較的手頃な価格で高精度なモーションキャプチャを実現でき、インディー開発者や中小規模の制作チームに人気があります。

大規模・プロ導入(100万円〜)

商業映画やゲーム制作、大手VTuber事務所などで使用される、最高峰のモーションキャプチャシステムです。高精度なデータ取得が可能で、複雑なアクションや複数人の同時キャプチャにも対応します。主に以下のようなシステムがあります。

  • OptiTrack:光学式で最高精度を誇り、ハリウッドや大手VTuber事務所が採用。価格は数百万円から1,000万円超え。
  • Vicon:映画やゲーム制作に多く導入実績がある。高精度なトラッキングが可能で、複数人の同時キャプチャにも対応。価格は1,100万円。
  • Faceware Studio:高精度なフェイシャルキャプチャに特化。リアルタイムでの顔の動きをアニメーション化可能。年額約34万円($2,340)。
  • Xsens MVN Link:屋外撮影にも対応する慣性式システム。18個のセンサーを搭載し、高精度な全身の動きをキャプチャ可能。約500万円~。

これらのシステムは、複雑なアクションや複数人の同時キャプチャにも対応しており、商業用途において高精度なデータ取得が可能です。

スタジオ撮影を利用する場合は、時間単位のレンタル料(数万円/時間〜)がかかります。プロのオペレーターやデータ処理費用も考慮する必要があります。

導入を検討する際は、初期費用だけでなく、メンテナンスやソフトウェアのアップデート、必要に応じた機材の追加なども予算に含めるとよいでしょう。

モーションキャプチャに関するよくある質問

Q1. モーションキャプチャとはどんな技術ですか?

A. モーションキャプチャ(MoCap)は、人の動きをセンサーやカメラで取得し、デジタルキャラクターなどにリアルタイムで反映させる技術です。VTuber、ゲーム、映画、アニメーション制作などで広く使われています。

Q2. モーションキャプチャを個人で導入できますか?

A. 可能です。最近では10万円以下で始められる簡易的なモーションキャプチャ機材(Perception NeuronやLeap Motionなど)も登場しており、VTuberや個人クリエイターの導入事例も増えています。

Q3. 必要な機材にはどんなものがありますか?

A. 一般的に以下のような機材が必要です。

  • センサーやスーツ(慣性式や光学式)
  • PC(中〜高スペック)
  • カメラ(フェイシャル用など)
  • トラッキングソフトや連携ソフト(VSeeFace、Facewareなど)
目的や予算に応じて選ぶことが重要です。

Q4. 3Dモデルを動かすにはモーションキャプチャが必須ですか?

A. 必須ではありません。マウスやキーボード操作で簡単な動きを付けることもできますが、自然な動きを再現したい場合はモーションキャプチャの導入が効果的です。

Q5. スタジオ撮影と個人環境の違いは何ですか?

A. スタジオ撮影は高精度な光学式カメラを多数使い、広範囲での動きも正確にキャプチャできます。一方、個人環境はコンパクトなスペースで、比較的安価な慣性式モーションキャプチャを使用するのが一般的です。

まとめ:高精度のモーションキャプチャならデジタルギアのスタジオへ

モーションキャプチャ技術は年々進化しており、かつてはプロの専有物だったものが、今では個人でも比較的手軽に導入できるシステムが増えています。そのため、個人勢でも自宅で簡単にモーションキャプチャを使い、滑らかで魅力的なVTuberアバターを使えるようになっています。

しかしながら、商業利用(ゲーム、映像制作)や、企業の顔となるVTuber運用、大規模なバーチャルイベントなど、最高品質のデータを必要とする場合には専門のスタジオ撮影がおすすめです。

プロ仕様のスタジオでは、数十台の高精度カメラによる正確な動きの記録と、経験豊富なスタッフによる丁寧なデータ処理が可能。映像作品や3Dライブなど、商業レベルの高品質なコンテンツを目指すなら、「デジタルギア」のようなモーションキャプチャスタジオの活用が最も確実で効果的です。

個人での活動か、プロフェッショナルな制作かによって最適な選択は異なりますが、目的と予算に合わせて最適なモーションキャプチャシステムを選ぶことで、デジタルキャラクターに命を吹き込むことができます。モーションキャプチャを活用して、あなたのビジネスやVTuber活動を加速させていきましょう。

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