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インターネットなしでメタバース?
はじめに
さて、これまでたくさんのメタバースの話をしてきましたが、「メタバース」には「インターネット」が付き物でした。
では、「インターネットなしではメタバースは成立しない」のでしょうか?
「どんなに遠方の人でも参加できる」ということを定義に含めるなら、そうかもしれません。しかし、「背景世界があって、自分の分身(アバター)があって、そこに自分が参加することができる」という条件であれば、それもメタバースの一種であると言ってもいいかもしれません。
それならば世の中には、紙と鉛筆とサイコロがあれば出来てしまうメタバースが存在します。
今回はそんな「アナログなメタバース」についてお話ししていこうと思います。
目次
1.テーブルトークとは?
2.特徴について
3.ダンジョンズ&ドラゴンズ
4.ソード・ワールド
5.クトゥルフ神話RPG
1. テーブルトークとは?
ゲームの世界では「テーブルトーク」と呼ばれる手法が存在します。これはすでに存在する世界観に沿ってシナリオを作り(シナリオ作成者はゲームマスターと呼ばれ、ゲームの進行を担います)、複数の参加者がプレイヤーとなって自分オリジナルのキャラクターを作製してなりきり、そのシナリオに沿ってゲームを進めていくというものです。行動は「プレイヤー側から提示する」ものであり、特定の決まった動きというものは存在しません。
また、ゲーム機やソフト、ディスプレイといった電子機器は使用しません。アナログです。紙と鉛筆とサイコロ、あとはプレイヤーの想像力次第です。
ルールは様々ありますが、製作者オリジナルのものもあれば、大型書籍として細かく形態化され長年使用されているものもあります。
「テーブル上で」「主に話(トーク)によって」「役割を演じる(ロール・プレイング)」ゲームであることから、頭文字をとって「TRPG」と呼ばれます。
ところで紙と鉛筆はいいけどサイコロって?という方のために補足しますと、サイコロは行動の結果を判定する道具です。例を挙げると、なにかしらの行動を取るとき、サイコロを振っていくつ以上なら行動成功、というように用います。
もちろん成功した場合と失敗した場合でシナリオの進行度合いや方向性が変わってきます。そのあたりは運任せというわけです。
2. 特徴について
メタバースの共通点でもある「複数のプレイヤー間で世界観を共有する」というのが大きな特徴です。周りは職業・個性・種族(もちろん人間とは限りません)こそ違えど、皆同じ世界で生きているというわけです。例えば様々な魔法が使えたり、特殊なものを使いこなす技能があったり、腕力特化だったり頭脳特化だったり、と様々です。
シナリオによって目的も違い、異常の原因を探る、だったり、最初からはなにも起こらない(日常生活を送る)けれど徐々に事件に巻き込まれていったり、特定の怪物を退治するといったものだったりします。
このような形で、様々に仮想世界での日常を演じていきます。
なお、サイコロの出目でゲームの進行度合いが決まることから、きちんとシナリオに含まれた要素を達成できる、とも限りません。これはなかなかシビアであり、現実的な要素のひとつであると言えるでしょう。話のすべてがハリウッド映画のようにはいかない、というわけですね。
欠点としては、人数が必要なこと(4人くらいは必要です)、スペースが必要なこと(自宅でやることも出来なくはないです)、時間がかかること(半日はみたほうがよいです)、ゲームマスターが必要なことです。大変だな?と思ったでしょう。意外と大変なんですよ。
それでは次から、日本国内での代表的なテーブルトークRPG(TRPG)について3つほど見ていきましょう。
3. ダンジョンズ&ドラゴンズ
アメリカ産まれ、世界最古のTRPGである「ダンジョンズ&ドラゴンズ(D&D)」は、その名の通り「ドラゴン(竜)」を生態系の頂点とし、様々な職種の様々な種族が入り乱れる世界を舞台とします。
基本となるコンセプトは「剣と魔法と冒険」であり、ダンジョン(地下迷宮)に立ち入って探索し、その成果を得ることを目的とするものです。
プレイヤーはあらかじめ設定された種族、職業の中からひとつを選択し、その得意技能に従って物語を進めていくことになります。(性格などはお好みに味付けできます)
そして、ゲームマスター(ここではダンジョンマスターと呼ばれます)の描いたとおりの物語の結末にたどり着ければゲームクリアとなります。必ずクリアできるとは限らない、というお話は先にしましたね。
このD&Dという作品は日本でも多くのプレイヤーが参加するTRPGのひとつであり、デジタルゲームとしてもリリースされています。近年では映画化も果たし、大きなヒット作品となりました。
4. ソード・ワールド
ソード・ワールドTRPGは、前述のD&Dとコンセプトの似た、日本でも最も歴史の古いTRPGのひとつです。
善悪様々な神々や怪物の住まう世界が舞台であり、剣で名を上げようとするもの、魔法の探求を行うもの、宝を見つけてひと財産なそうとするもの、神にその人生を捧げたものなど、多くの住人が存在します。もちろん人間以外の種族も住んでいます。
基本はD&Dのように冒険が主な内容となりますが切欠は様々で、最初は面識もない者同士だったり、最初から顔見知りだったり、また起こる事件も最初はちっぽけだったり、最初からそこそこ面倒事(戦争中など)だったりします。また、冒険する場所もダンジョンとは限りません。
シナリオをきちんと終了できるとは限らない、という点はD&Dと同じです。
ソード・ワールドは1988年から日本で刊行された小説が火付け役となり、その影響でさらに多くの派生型TRPGが日本に誕生しました。その小説は本編以外に数編の外伝を持ち、今でも日本ファンタジー小説界の金字塔と呼ばれています。
5. クトゥルフ神話RPG
「クトゥルフ神話」は、20世紀にアメリカで創作された神話体系です。
ストーリーは前出のふたつと違い日常を舞台にしたごく普通の人々が生活するものが多いですが、この神話特有の「見てはならない・名状しがたき怪物たち」が徐々にプレイヤーたちの日常を、精神を蝕んでいくというストーリーです。
このゲーム独自のシステムとして「正気度」があります。最初は正気なのですが、神話怪物の影響が見えるたびに正気度が減らされていきます。正気度がゼロになってしまうと…。
先にも述べた通り我々の世界の人間の日常生活を描いたものであり、「日常に潜む狂気」を描いた作品となっています。日本でも多くの日本語訳がなされ、多くのプレイヤーが参加する作品です。
https://www.amazon.co.jp/s?k=クトゥルフ神話trpg&crid=DNCSFX1T4YZ5&sprefix=クトゥルフ%2Caps%2C169&ref=nb_sb_ss_ts-doa-p_5_5
まとめ
今回は少し変わった趣向でお送りしましたがいかがでしたでしょうか。
ゲームは、そもそも世界観が設定されているものが多いので「世界観を作り出す」がコンセプトであるメタバースとは親和性が高いと言えるのですが、そのなかでもいちばんアナログな手法をご紹介しました。ゲームの歴史の中では特に古いもののひとつであると言えると思います。
ちなみにホビーショップなどでは、こうしたイベントの情報が置いてあることがありますので、興味のある方はのぞいてみるといいかもしれません。
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