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Live2Dとは?VTuberに人気の2Dアニメーション技術の仕組みと使い方
Live2Dに興味があるけれど、「Live2Dとは何か」「どんな用途で使われるのか」「自分でも始められるのか」といった疑問を抱えているのではないでしょうか。Live2Dの基本知識や制作方法を理解することで、VTuberモデル制作やゲーム開発など様々な分野で活用でき、新たなクリエイティブな表現が可能になります。
この記事では、Live2Dの基本概念から仕組み、具体的な活用事例、制作手順、費用相場、学習方法まで初心者向けに詳しく解説していきます。この記事を読んで、Live2Dの全体像を把握し、あなたもLive2Dを活用したクリエイティブな活動を始めてみましょう。
この記事のまとめ
- Live2Dは2Dイラストを立体的に動かす2Dアニメーション技術
- VTuberモデルからゲーム開発まで幅広い分野で活用されている
- 原画の魅力を活かしつつ制作コストを抑えられる傾向がある
- 制作費用は個人なら数万円から、企業なら数十万円からが目安
- 公式チュートリアルが充実しており初心者でも学習しやすい環境
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目次
Live2Dとは
Live2Dとは、株式会社Live2Dが開発した、2Dイラストを立体的に動かすアニメーション技術です。従来の手描きアニメとは異なり、1枚の原画をパーツごとに分割し、各パーツに動きの範囲を設定することで滑らかなアニメーションを実現します。
イラストを構成するパーツに細かなメッシュを割り当てて変形させる独自の技術により、イラストの魅力を損なうことなく立体的な表現が可能になり、3DCGのようにゼロから立体モデルを作成する作業は不要です。VTuberモデル制作をはじめ、スマートフォンゲーム、アニメーション制作など幅広い分野で活用されており、現在では2Dリアルタイム表現における業界スタンダードツールとして認知されています。
個人クリエイターから大手企業まで多くの制作現場で採用され、アニメーション制作の新たな可能性を切り開いている革新的な技術といえます。
Live2Dの仕組みと特徴
Live2Dは、2Dイラストが持つ独自の魅力を最大限に活かしつつ、立体的なアニメーションを可能にする技術です。これは主に、イラストに直接変形を加える「メッシュ変形」の技術と、動きを細かく制御する「パラメータ設定」という二つの要素によって実現されます。
このアプローチにより、アニメーションのために多数のコマを手描きしたり、3DCGモデルを一から作成したりする従来の手法と比較して、既存のイラスト(原画)を効率的に活用し、制作の時間とコストを大幅に削減できる点が大きな特徴です。
イラストに動きを加える技術
Live2Dは「メッシュ変形」と呼ばれる技術により、イラストに自然な動きを加えます。イラストの各パーツを小さな三角形(メッシュ)に分割し、これらの頂点を動かすことでアニメーションを生成します。
従来の手描きアニメでは何枚ものイラストを描く必要がありましたが、Live2Dでは1枚の原画から無数のポーズや表情を作り出せます。目の動き、髪の揺れ、服の動きなど、細かな表現も滑らかに再現でき、キャラクターに生命感を与えることができます。
パーツごとに分けて動きの設定
Live2Dモデルの制作では、イラストを動かしたい部位ごとに細かく分割します。顔なら目、鼻、口、眉毛、頬など、髪なら前髪、サイドヘア、後ろ髪などに分けて準備します。
各パーツには「パラメータ」と呼ばれる動きの範囲を設定します。例えば「顔の角度X」「口の開閉」「目の開閉」などのパラメータを作成し、それぞれに最小値から最大値までの動きを定義します。これらのパラメータを組み合わせることで、表情豊かなアニメーションが完成します。
他のアニメ手法との違い
Live2Dと他のアニメーション手法には明確な違いがあります。違いを理解することで、Live2Dがなぜ多くのクリエイターに選ばれているのかがわかります。
手描きアニメとの違い
手描きアニメで滑らかな動きを目指す場合、1秒間に最大24枚といった多数のイラストが必要になることがあり、一般的に作画枚数に応じて制作時間とコストも大きくなる傾向があります。例えば、キャラクターが3秒間話すシーンでも、動きの細かさや表現の意図によっては数十枚単位のイラストが必要となるケースも考えられます。
一方、Live2Dは1枚の原画を変形させてアニメーションを生成するため、原理的に作画枚数を大幅に削減できます。口の動き(口パク)や瞬き、細かな表情変化なども、原画に設定した「パラメータ」を操作することで作り出せるため、制作時間の短縮が期待できます。また、完成後もパラメータを調整することで動きの修正やバリエーションの追加が比較的容易に行える柔軟性も、Live2Dの大きな利点です。
3DCGアニメとの違い
3DCGアニメでは、キャラクターなどを立体モデルとして新たに作成します。そのため、元の2Dイラストの繊細なタッチや塗りの再現には技術と時間が必要で、時にイラストの印象と異なる仕上がりになることもあります。
一方、Live2Dは2Dの原画を直接動かすため、イラスト独自の雰囲気や魅力をそのまま活かせます。また、3DCG特有の複雑な立体モデリングや専門的なリギング作業が大幅に軽減されるため、2Dイラストに慣れた人なら直感的に制作しやすいのが大きな違いです。
Live2Dの主な活用事例
Live2Dは幅広い分野で活用されており、特にリアルタイムでキャラクターを動かす用途で威力を発揮します。VTuberモデル制作から始まり、現在ではゲーム業界、映像制作、広告業界まで活用の場が拡大しています。その汎用性の高さと導入しやすさから、個人クリエイターから大手企業まで多くの制作現場で採用されている技術です。
VTuberモデル制作
VTuber業界においてLive2Dは事実上のスタンダードツールとなっています。顔認識ソフトと連携することで、配信者の表情や動きをリアルタイムでキャラクターに反映できるため、視聴者との自然なコミュニケーションが可能になります。
人気VTuberの多くがLive2Dモデルを使用しており、まばたき、口パク、首の動き、髪の揺れなど細かな表現により、キャラクターに生命感を与えています。また、配信中の感情表現や驚きの演出なども、Live2Dならではの滑らかな動きで表現できるため、視聴者のエンゲージメント向上にも貢献しています。
バーチャルアシスタント制作
企業のカスタマーサービスやデジタル窓口などでLive2Dが活用されるケースが増えています。AIチャットボットにLive2Dキャラクターを組み合わせることで、より親しみやすく印象的なバーチャルアシスタントの制作が可能です。
従来の静止画や3DCGと比較して、Live2Dは表情豊かで自然な動きを比較的低コストで表現できるため、ユーザーとの対話をより人間的で温かみのあるものにする効果が期待できます。一部の企業のWebサイトにおける問い合わせ対応や、商業施設の案内システム、イベントでのインタラクティブな接客などでの活用事例が見られます。
スマホゲーム
スマートフォンゲーム業界では、Live2Dはキャラクターの立ち絵やホーム画面でのアニメーションに広く使用されています。プレイヤーのお気に入りキャラクターが自然に動く様子は、ゲームへの愛着を深める重要な要素となっています。
例えば、「アズールレーン」では多くのキャラクターがLive2Dによって滑らかで魅力的な動きを見せ、「プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク」ではキャラクターたちの会話シーンやライブのMCパートなどで豊かな表情や動きを実現しています。これらのように、Live2Dはキャラクターとの親密度を高める演出効果を発揮し、プレイヤーの満足度向上に貢献しています。
アニメーション・映像制作
アニメーションや映像制作においても、Live2Dは次回予告やキャラクター紹介映像、WebCM、教育コンテンツなど、様々なシーンで活用されています。従来の手描きアニメーションと組み合わせることで、制作コストを抑えながら魅力的な映像を制作できる場合があります。
Live2D社自身も「Beyond Creation」などの短編アニメーション作品を制作し、技術の可能性を追求し続けており、個人クリエイターや小規模スタジオによるインディーアニメーション制作などにも利用が広がっています。
デジタルサイネージ・広告
商業施設や駅構内のデジタルサイネージでも、Live2Dキャラクターが注目を集めています。静止画の広告と比べて圧倒的に目を引く効果があり、ブランドイメージの向上や商品の認知度アップに貢献しています。
企業マスコットキャラクターにLive2Dで動きを付けることで、親しみやすく印象に残る広告を制作できます。また、イベント会場での大型スクリーン演出や、Web広告でのインタラクティブなコンテンツ制作など、活用の幅は今後さらに広がることが期待されています。
Live2Dを選ぶメリット
Live2Dが多くのクリエイターや企業に選ばれる理由は、従来のアニメーション制作手法では実現困難だったことを可能にしている点にあります。具体的には、原画の魅力を損なわず表現できる点、多様なプラットフォームで活用できる点、そして制作・学習にかかるコストを抑えられる点などが、主要なメリットとして挙げられます。
原画の魅力をそのまま活かせる
Live2Dの大きな魅力は、イラストレーターが描いた原画のタッチや雰囲気を最大限に活かせる点です。一般的に3DCGでは原画を基に立体モデルを一から作成するため、元絵の繊細な線使いや独特の塗りといったディテールが再現しきれないこともあります。
一方、Live2Dは原画そのものをパーツ分けして動かすため、イラストレーターが持つ個性的な線のタッチ、色彩の美しさ、独特な塗りのテイストなどを極めて忠実に再現しながら、キャラクターに命を吹き込むことができます。
これにより、ファンが愛するキャラクターのビジュアルイメージを損なうことなく、動きのある魅力的なコンテンツを制作できます。特にイラストの表現力を重視するコンテンツにおいて、この特徴は大きな強みとなります。
幅広いプラットフォームで活用可能
Live2Dで制作したモデルは、様々なプラットフォームで活用できる汎用性の高さが魅力です。VTuber配信アプリ、スマートフォンゲーム、Webブラウザ、コンシューマーゲーム、デスクトップアプリケーションなど、多岐にわたる環境で同一のモデルを使用できます。
Live2Dのモデルをゲームやアプリケーションなどで幅広く活用できるように、公式の「SDK(ソフトウェア開発キット)」というツールが提供されています。このSDKを利用することで、パソコンやスマートフォン向けのアプリ、ウェブサイト、開発プラットフォームのUnityなど様々な環境でLive2Dモデルを動かすことが可能になります。
これにより、一度制作したモデルを複数のプロジェクトで再利用でき、開発効率の向上とコスト削減を同時に実現できます。また、将来的に新しいプラットフォームに展開する際も、既存のモデル資産を有効活用できる点は大きなメリットです。
制作・学習コストを抑えられる
Live2Dは従来のアニメーション制作と比べて、制作・学習にかかるコストを抑えられる傾向があります。
手描きアニメーションでは膨大な作画枚数が必要でしたが、Live2Dなら1枚の原画から複数のアニメーションを生成できるため、作画工数を減らし、制作時間や関連コストを削減できます。また、2Dイラストを扱うツールであるため、イラスト制作に慣れた方にとっては、3DCGよりも比較的スムーズに学習を始めやすいでしょう。
また、豊富な公式チュートリアルや学習教材も用意されており、プロレベルの高度な表現には相応の学習と経験が求められますが、基本的な操作であれば独学でも十分にスキルを身につけることが可能です。
Live2Dの作り方と制作手順
Live2Dモデルの制作は、大きく4つの工程に分かれています。まずイラストの準備とパーツ分け、次にLive2D Cubism Editorを使ったモデリング作業、そしてアニメーション制作、最後に書き出しと活用という流れです。各工程には専門的な技術が必要ですが、公式チュートリアルに従って進めれば初心者でも基本的なモデルを制作できます。
イラスト・パーツ分けの準備
Live2Dモデル制作の第一歩は、動かしたいキャラクターのイラスト準備です。イラストはPSD形式で保存し、動かしたい部位ごとにレイヤーを分けて描きます。
顔の場合、白目・瞳・まぶた・眉毛・口・鼻などを個別のレイヤーに分割し、髪の毛も前髪・サイドヘア・後ろ髪などに細かく分けます。パーツ分けが細かいほど滑らかで自然な動きを表現できますが、その分モデリング作業も複雑になります。
推奨ソフトはAdobe PhotoshopまたはCLIP STUDIO PAINTです。見えない部分も動きを想定して描き足す必要があるため、元絵よりも作業量が増えることを覚悟しておきましょう。
Live2D Cubism Editorでのモデリング
パーツ分けしたPSDファイルをLive2D Cubism Editorに読み込み、モデリング作業を開始します。各パーツにメッシュを割り当て、変形範囲を設定していきます。
まず各パーツの「アートメッシュ」を作成し、変形に必要な頂点を配置します。次に「パラメータ」を設定し、顔の角度、目の開閉、口の開閉などの動きの範囲を定義します。
デフォーマという機能を使えば、複数のパーツをまとめて変形させることも可能です。この工程では、キャラクターの個性や魅力を最大限に引き出すための調整が重要となります。物理演算機能により、髪や服の自然な揺れも表現できます。
アニメーション制作
モデリングが完了したら、アニメーションモードに切り替えてモーションを制作します。設定したパラメータを組み合わせて、まばたき、息遣い、話す動作などの基本的なアニメーションを作成します。
タイムライン上でキーフレームを設定し、パラメータの値を調整することで滑らかな動きを表現します。Live2Dでは補間機能が優秀なため、少ないキーフレームでも自然なアニメーションを制作できます。
VTuber用途の場合は、表情のバリエーションを多く用意しておくと、配信での表現力が向上します。物理演算による髪揺れや服の動きも、この段階で細かく調整していきます。
書き出しと活用
完成したLive2Dモデルは、用途に応じて様々な形式で書き出しできます。VTuber活動やアプリケーション組込みにはランタイム用のモデルデータ(moc3ファイルなど)として、動画やSNSでの共有にはmp4やGIFアニメーションとして書き出します。
書き出し後は、VTube StudioやAnimazeといったトラッキングソフトと連携させてVTuberとして配信したり、UnityやCocos CreatorなどのゲームエンジンにLive2Dモデルを組み込んでゲームキャラクターとして登場させたりすることができます。また、アニメーションを動画ファイルとして書き出し、映像作品の素材として活用することも可能です。一度制作したモデルは様々な用途で再利用できるため、効果的なデジタル資産となり得ます。
Live2Dモデルにかかる費用
Live2Dモデルの制作費用は、依頼先やクオリティ、対応工程によって大きく変動します。個人クリエイターへの依頼なら数万円から、制作会社なら数十万円以上が一般的な相場です。また既存モデルの購入や自作という選択肢もあり、予算と目的に応じて最適な方法を選択できます。費用対効果を考慮して、自分のニーズに合った制作方法を検討することが重要です。
個人クリエイターへの依頼相場
個人クリエイターへの依頼は、比較的リーズナブルな価格でLive2Dモデルを制作できる選択肢です。デザインからモデリングまでの一括制作で数万円~数十万円が相場となっています。
クリエイターの実績や人気度により料金は変動し、企業系VTuberを手がけた経験のあるクリエイターの場合は相場の2倍程度になることもあります。納期は1~2ヶ月程度が一般的で、個人の作業ペースにより前後します。
【工程別】個人クリエイターの料金目安
- イラスト制作(パーツ分け含む):3万円~5万円
- モデリング作業:3万円~15万円
- 基本アニメーション:1万円~3万円
- 追加モーション:1つにつき3,000円~8,000円
制作会社への依頼相場
制作会社への依頼は高品質なモデルを期待できる反面、費用も高額になります。一括制作で一般的に30万円から数十万円、複雑なものでは150万円以上が相場となり、実績のある大手制作会社では初期費用として50万円を超えるケースも珍しくありません。
制作会社のメリットは、複数人体制による安定した品質とスケジュール管理、アフターサポートの充実です。企業案件や商用利用での信頼性を重視する場合は、制作会社への依頼が適しています。
【工程別】制作会社の料金目安
- イラスト制作+パーツ分け:16万円~20万円
- モデリング作業:20万円~40万円
- アニメーション制作:1モーションあたり5,000円~15,000円
- プロジェクト管理費:総額の10~20%
既存モデル購入の費用相場
既存のLive2Dモデルを購入する方法は、最も手軽で低コストな選択肢です。Live2D公式マーケット「nizima」では、1万円~5万円程度で高品質なモデルを購入できます。
既存モデルの利点は即座に利用開始できることと、作家の個性的なデザインを楽しめることです。ただし、完全オリジナルではないため、他の人と同じモデルを使用する可能性があります。
価格帯別の特徴
- 1万円~2万円:シンプルなデフォルメキャラクター、基本的な動作のみ
- 2万円~3万円:詳細なキャラクター、表情バリエーション豊富
- 3万円~5万円:プロ品質、商用利用可能、カスタマイズ素材付き
自作する場合の費用相場
Live2Dモデルを自作する場合、主にソフトウェア費用と学習コストがかかります。金銭的な負担は最も少なく抑えられますが、相応の時間投資が必要になります。FREE版なら永久無料で使用できますが、機能制限があります。
自作の場合、初心者なら基本的なモデル完成まで1~2ヶ月程度の学習期間を見込んでおきましょう。長期的に複数のモデルを制作する予定があるなら、最もコストパフォーマンスの良い選択肢といえます。
必要な費用の内訳
Live2D Cubism Editor
プラン | 対象 | 月額料金(税込) | 年額料金(税込) |
---|---|---|---|
PRO版 for indie | 個人・小規模事業者 | 単月プラン:2,288円 年間プラン:979〜1,309円 |
11,748〜15,708円 ※継続するごとに割引 |
PRO版 for business | 企業・法人 | 単月プラン:10,582円 年間プラン:5,038〜6,050円 |
60,456〜72,600円 ※継続するごとに割引 |
FREE版 ※機能制限あり | 全ユーザー | 無料 | 無料 |
イラスト制作ソフト
ソフト名 | プラン・版 | 月額料金(税込) | 年額料金(税込) |
---|---|---|---|
Adobe Photoshop | 単体プラン ※Adobe Expressプレミアムが付与 |
3,280円 | 34,680円(一括払い) |
フォトプラン(1TB) | 2,380円 | - | |
Creative Cloudコンプリート | 7,780円 | 86,880円(一括払い) | |
CLIP STUDIO PAINT | PRO版 1デバイス | 480円 | 3,000円(一括払い) |
EX版 1デバイス | 980円 | 8,300円(一括払い) | |
PRO版 買い切り(ver4.0) | - | 6,400円 | |
EX版 買い切り(ver4.0) | - | 26,900円 |
※金額はいずれも2025年5月時点の価格
Live2Dの始め方と学習方法
Live2Dを始めるには、適切なPC環境の準備から段階的に進めることが重要です。動作環境の確認、ソフトウェアのインストール、サンプルでの動作確認、そして基礎学習という4つのステップを踏むことで、確実にLive2D制作をスタートできます。初心者でも迷わず進められるよう、各工程を丁寧に実行していきましょう。
【準備】動作環境の確認とPC準備
Live2D Cubism Editorを快適に動作させるには、一定以上のPCスペックが必要です。公式推奨環境を満たしているか事前に確認しましょう。
Windows環境の推奨スペック
- OS:Windows 10(64bit)以降
- CPU:Intel Core i5 / AMD Ryzen 5以上
- メモリ:8GB以上(16GB推奨)
- グラフィック:OpenGL 3.3 または DirectX 9.0c以上に対応
- ストレージ:空き容量4GB以上
Mac環境の推奨スペック
- OS:macOS 10.15以降
- CPU:Intel Core i5以上またはApple Silicon
- メモリ:8GB以上(16GB推奨)
- グラフィック:OpenGL 3.3以上に対応したGPU
- ストレージ:空き容量4GB以上
スペック不足の場合、動作が重くなったり強制終了する可能性があります。特にVTuber配信を目的とする場合は、配信ソフトとの同時使用を考慮してより高性能なPCを用意することをおすすめします。
【設定】Live2D Cubismのインストールと初期設定
Live2D公式サイトからCubism Editorをダウンロードし、インストールを行います。初回起動時は、PRO版(42日間トライアル)またはFREE版を選択できます。学習効果が高めるため、まずはPRO版ですべての機能を体験してみることをおすすめします。
ダウンロードとインストール手順
- 「Live2D Cubism Editor」の公式ダウンロードページへアクセス
- 使用許諾契約に同意の上、最新版のインストーラーをダウンロード
- ダウンロードしたインストーラーを実行
- セットアップウィザードの指示に従ってインストールを完了
【動作確認】サンプルモデルで動作確認
インストールが完了したら、公式サンプルモデルを使用して正常に動作するか確認します。この段階でトラブルがないことを確認してから本格的な学習を開始しましょう。
Live2D公式サイトでは「初音ミク」「桃瀬ひより」などの高品質なサンプルモデルを無料配布しています。これらをダウンロードしてCubism Editorで開き、パラメータを動かしてキャラクターがスムーズに動くことを確認します。
サンプルモデルでの確認項目は、パラメータスライダーでの顔の動き、まばたきアニメーションの再生、物理演算による髪揺れの動作などです。これらが問題なく動作すれば、PC環境とソフトウェアが正しく設定されていることがわかります。動作に問題がある場合は、グラフィックドライバの更新やメモリ使用量の確認を行いましょう。
【実践】公式チュートリアルで基礎学習
動作確認が完了したら、Live2D公式チュートリアルで基礎を学習します。YouTubeで公開されている「基本チュートリアル」シリーズは、初心者でも理解しやすい内容となっています。
推奨学習順序
- 図形で覚えるLive2D(基本概念の理解)
- イラストの加工(パーツ分け方法)
- イラストを動かす準備(メッシュ作成)
- 顔を動かす(基本的なモデリング)
- 表情を作る(パラメータ設定)
- アニメーションの作成(モーション制作)
各チュートリアルは5~10分程度で、実際に手を動かしながら学習できる構成になっています。わからない部分は繰り返し視聴し、公式マニュアルサイトでも詳細な解説を確認できます。また、Live2D公式フォーラムでは質問も可能で、コミュニティからのサポートも受けられます。
Live2Dに関するよくある質問
Q1. Live2Dは無料で使えますか?
A. Live2D Cubism Editorには、無料のFREE版と有料のPRO版があります。FREE版は一部機能に制限がありますが、基本的なモデル制作や学習には十分活用できます。PRO版は全ての機能が利用可能で、個人・小規模事業者向けの「for indie」プランなら年額17,424円(税込、2025年5月現在)から利用できます。企業向けの「for business」プランもあります。PRO版には42日間の無料トライアル期間があるので、まずは試用してからの購入検討がおすすめです。
Q2. スマートフォンでLive2Dモデルは作れますか?
A. Live2D Cubism EditorはWindowsおよびMac専用のソフトウェアですので、スマートフォン単体でのLive2Dモデル制作はできません。モデル制作にはパソコンが必須です。ただし、パソコンで制作したLive2Dモデルは、VTuber向けの配信アプリ(例:VTube Studioのスマホ連携機能など)や、一部のスマートフォン向けアプリでアバターとして使用することが可能です。例えば、アバターコミュニケーションアプリ「topia」などで活用できる場合があります。
Q3. イラストが描けなくてもLive2Dを始められますか?
A. はい、始められます。Live2D公式では無料のサンプルモデルを多数提供しており、これらを使って練習できます。また、実際の商用案件でも原画制作者とLive2Dモデリング担当者が異なることが多く、「絵は描けないがアニメーションに興味がある」方にもおすすめです。公式マーケット「nizima」でイラスト購入も可能です。
Q4. VTuber活動にはどの程度のスペックが必要ですか?
A. Live2D Cubism Editor自体の推奨スペック(例:CPU Intel Core i5/AMD Ryzen 5以上、メモリ8GB以上、専用グラフィックボード)を満たしつつ、さらに安定した配信のためにはこれ以上の性能が望ましいです。Webカメラ、マイク、配信ソフト(OBS Studioなど)も必須です。フェイストラッキングアプリ(例:VTube Studio)とLive2Dモデル、配信ソフトを同時に快適に動作させるには、CPUはIntel Core i7/AMD Ryzen 7相当以上、メモリは16GB以上、そして専用グラフィックボード(NVIDIA GeForce GTX/RTXシリーズなど)を搭載したPCが理想的と言えるでしょう。
Q5. Live2D制作にはどのくらいの期間がかかりますか?
A. 目指すクオリティや作業に割ける時間、個人のスキルによって大きく変動します。仮にパーツ分け済みのイラストがあり、毎日集中的に作業できる初心者の方であれば、基本的な動き(目パチ、口パク、簡単な顔のXYZなど)を備えたモデルの完成までに1~2週間程度が一つの目安になるかもしれません。もちろん、イラスト制作から始める場合はさらに時間が必要です。パーツ分け、モデリング、アニメーション設定と段階的に進むため、最初はシンプルなキャラクターやチュートリアルモデルの模倣から始めることをお勧めします。クオリティを追求すればするほど時間はかかりますが、経験を積むことで効率的に制作できるようになります。
まとめ:Live2Dでイラストに新たな命を吹き込もう
Live2Dは2Dイラストを立体的に動かす革新的な技術で、VTuberモデル制作からゲーム開発まで幅広く活用されています。原画の魅力を保ちながら効率的にアニメーションを制作でき、個人クリエイターから企業まで多くの制作現場で採用されています。
Live2Dアバター制作を検討している方は、自作・依頼・購入など様々な選択肢から自分の予算と目的に合った方法を選ぶことが重要です。もしLive2Dモデル制作でお悩みの場合は、VTuber制作に特化したデジタルギアが豊富な実績とノウハウを持っています。Live2Dの導入や制作方法について迷われている方は、ぜひ一度デジタルギアへご相談ください。