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VRChatはメンタルヘルスにも良い効果が?メンタルヘルス領域でのメタバース活用事例紹介
はじめに
メタバースと呼ばれるものの普及は思ったよりも早く、ゲーム業界では『どうぶつの森』(この場合は広義のメタバースと定義する)や『Fortnite』などがあります。
このように、VR世界はどんどん身近になり、リアルとバーチャルの融合も進んでいます。
例えば、ローソンでは2022年から、店舗モニターのアバターを通じた接客アルバイトを募集しました。
また、VRを利用した結婚式や旅行など、バーチャルでできることはどんどん増えています。
ここでは『メタバース空間でカウンセリング』という変わった取り組みについてお話をしていきたいと思います。
目次
1.メタバース空間でカウンセリングを受けるとは
2.事例紹介
3.メリット・デメリットについて
4.今後の取り組み
1.メタバース空間でカウンセリングを受けるとは
メタバース空間内にあるクリニックで、オンラインカウンセリングを行い、メンタルヘルスの改善を図るという試みです。
メタバース内のクリニックでは診断や処方箋を出すことはできないため、目的は病院へ行くためのきっかけづくりです。
こうした取り組みが、病院に行くべきか分からない方や通院するまでに距離や日程的な部分で制約がある方の橋渡しになるのではないかと考えられています。
カウンセリングルームの種類は多いですが、どれも匿名性は守られているので安心してください。 現実世界よりも匿名性を守りやすいのは、メタバース世界の利点といえます。
また、アバターを介することで、対面での会話よりも負担なく相談ができます。個人的な相談もしやすく悩み相談の分野においてメリットが多いです。
2.事例紹介
実際に、メタバース空間でカウンセリングが受けられるサービスの具体例を紹介します。
企業だけでなく、市町村による取り組みもあるので、確認してみてください!
- 甲府市メタバース
誰でも入室可能な空間では、アバターを使って他の人と会話をしたり、市のひきこもり支援に関する情報を見ることができます。
また、甲府市民の方は個別相談ができる「森の相談ルーム(※)」を利用可能です。
※「甲府市メタバース 心のよりどころ空間」内に設置されている予約フォームより申し込み可能です。
登録時に必要な情報はニックネームとメールアドレスのみとなっています。
- メタバースクリニック
メタバースクリニックは2022年4月から、サービス開始しました。
メンタル不調や精神疾患を抱える方や、そのご家族が利用できる無料コミュニティです。
精神科専門医、公認心理士を中心とした専門家による情報提供に加え、匿名お悩み相談が利用できます。
座談会の開催もしており「同じ悩みを持つ人たちと集まって意見を共有したいけれど、現実で会うのは勇気が出ない」という方でも参加しやすいのは、大きなメリットです。
参照や注釈
甲府市メタバース~心のよりどころ空間を活用しひきこもり支援~ https://www.city.kofu.yamanashi.jp/kenko_zoshin/seisinhoken/20190903hikikomori.html
3.メリット・デメリットについて
この項目ではメタバース空間でカウンセリングを受ける際のメリットとデメリットについてお伝えします。
【メリット】
- アバターを利用するので匿名性が高い
- カウンセリング頻度を上げられるので、精神障害の早期発見に繋がる
- 通院の心理的なハードルが低い
- 費用が抑えられる(無料のところが多い)
- 場所や時間の制約が少ない
【デメリット】
- 診断や診察といった医療行為は不可能
精神障害リスクの抑制という側面が大きい
4.今後の取り組み
現在このような取り組みが行われているメタバース空間内でのカウンセリングですが、今後はどのような取り組みが期待されているのでしょうか?
日本アイ・ビー・エム株式会社(世界170か国でビジネスを展開するITカンパニー)と順天堂大学は、「メディカル・メタバース共同研究講座」を設置しました。
2社共同による取り組みの一環として、順天堂医院をバーチャル空間に設置し、新サービスを開発・提供していく予定とのことです。
バーチャル空間に設置された順天堂医院の実物で利用できるサービスの例を簡単にご紹介します。
- 外出が困難な入院患者さんが病院の外の仮想空間で家族や友人と交流できる。
- 説明が複雑な治療を疑似体験することにより、患者さんの理解を深めたり、不安や心配といった感情を軽減させる。
また、メタバース空間で実物の病院の業務を代替えすることにより、医療従事者の働き方改革に繋がると考えられています。
このような取り組みは今後増えていくことでしょう。
参照や注釈
“順天堂バーチャルホスピタル”|順天堂.2022-4-1
https://hosp.juntendo.ac.jp/albums/abm.php?d=4448&f=abm00019290.pdf (参照2024-5-22)
まとめ
今回はメタバース空間でのメンタルヘルス領域での活用例、そして今後の取り組みについてお伝えしました。
このように普段の生活に近い部分でもメタバースは活用されています。
ゲーム分野だけではなく、こういった部分でも使われているとは驚きですね。
もう少し時間が経てばメタバースでの治療なども可能になるのでしょうか?楽しみですね。
🏷️タグ
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